映画:ミスト
スティーブンキング原作の映画化だ。DVD化は出たばかりだが、パッケージを見て、「レンタルでいいか」と思った。というわけで、レンタルで借りて見てみた。ホラー映画は好きな方だが、最近は、あんまり怖いと思わなくなっており、まぁ、見てみるとかぐらいの軽い気持ちで。
先入観無く見たかったので、事前の情報はゼロ。原作も読んだ事はない。
さて、どうだったか?
※ネタバレなので、未見の方は読まない方がいいです。※
物語は、嵐の過ぎ去ったある町で、謎のキリが大量発生。しかも、何か化け物が潜んでいる。一人殺され、さらにデカい虫みたいのが現れ、人々を襲っていく。やがて、狂信的な教祖みたいなオバサンが出てきて、「これは神の怒りだ」なんていうもんだから、洗脳された人が出てきて。人々が狂気にまで襲われる。
この悲惨な状況の中で、主人公は無事に脱出する事ができるのか?息子はどうなるのか? 結末はどうなるんだ? ラストへの期待を抱かせる映画だったと思う。
霧という先が見えない空間に得体の知れない化け物が出てくるという恐怖。やかましい音をたてて飛び回る虫に、なんか鳥ような化け物、巨大イカと思える触手、カマキリの化け物などいっぱい出てくる。
最初は、「これ怪獣映画?」と思ったりしたが、そうではないようだ。恐怖に脅える群集を狂気的な女教祖が先導し、やがて疑心暗記になった民衆も恐怖である。それでも、なんとか無事に逃げ押せた主人公に更なる絶望が襲う。脱出した車の中で、「超巨大な化け物の姿」を見せられ、やがてガソリンが切れた車の中で5人は自殺を決意。
「食われるくらいなら死のう」
そう思ったのもわからなくはない。そして、自らの子供を手にかけた主人公の前に、軍隊の戦車や救出された民衆を乗せたトラックが通過する。おまけにトラックには、「序盤に二人の子供が心配だと霧に飛び込んでいった母親」が乗っていた。二人の子供もいっしょだ。
序盤で母親がみんなに助けを求めたときは、「全員、断った」はずなのに。ラストでは軍隊は虫を焼き払い、やがて霧が晴れてくる。どうやら世界は助かったようだ。
しかし、この母親達は助かって、主人公は絶望する。
なんという皮肉。なんという結末。
人間は間違う。いつでもベストな選択ができるわけではない。だから間違う。決断の時を誤る。でも結果は、結果だ。誰も正確な予測はできない。ちょっと時間がズレれば、逆の結果だったかもしれない。
誰が主人公を責める事はできるだろう。「もうちょっと待てばよかったのに」なんていうことは簡単だが、仲間が死に、妻も死んでの極限状態では、「もうダメだ」と思っても不思議じゃなかった。
誰しも、「あの時、あ~していれば」と思う事はよくある。たとえ今の状況が悪くなかったとしても、「選択の後悔」はつきまとう。人生の極限の選択をしたことは無いが、そんな事を感じさせてくれた映画だった。
それにしても怖い、コワイぞ。しかも後味はすこぶる悪い映画だ。
主人公は決して悪いヤツではなかったが、選択が全て裏目にでてしまってるように描かれている。人生とは、そういうモンなんだろうか。
この映画を見ていて、ちょうど虫が飛び交ってるシーンでの事だ。窓の外で「バサバサ!!」と音がして、思わず飛び上がっちゃった。正体は「カラス」なんだけどね。部屋のTVはサラウンドじゃないのに、まるでサラウンドスピーカーのような効果だった。ありゃ、怖かったぞ。
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スティーブンキングの作品は好きでレンタルショップに行っては、よくチェックしています。
今回の映画“ミスト”。
怪獣映画?SF?ホラー?色んな要素が取り込まれて、多角的におもしろい映画です。
人間の心に潜む光と陰、恐怖感から生まれる残酷さ、怖いくらいに、気持ちが入り込んでしまった。画面を見ながら、手に汗を握り、人間の脆さをひしひし感じました。
これは、原作を読んでみなくては…☆
投稿: ななし | 2008年10月16日 (木) 23時21分
コメントありがとうございました。この映画はラストの手前までは原作と同一だそうですね。ラストだけは映画オリジナルということで、原作がどのように描いていたのかは、私も興味があります。
投稿: BSL管理人 | 2008年10月18日 (土) 18時52分